Kanye West-『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』のレビュー及び感想
このアルバムは滅多に出ないと言われている、海外の音楽メディア『Pitchfork』の満点である10点を獲得したアルバムですね。
Pitchfork以外のメディアやリスナーからも大絶賛された、ヒップホップ界――いや、音楽の歴史の中で、名盤として語り継がれていくであろうアルバムになります。
このアルバムが出る前に、Grammy賞の場でテイラースウィフトと一悶着あり、各方面から叩かれいるにもかかわらず大絶賛されたのは個人的には少し不思議だと思いました。
なにかやらかすと音楽方面にも影響が出て、どれだけ優れた作品を出しても評価されにくいと思ったんですけどね。
しかし、そんなものを吹き飛ばしてしまうほどの名盤だということなのでしょう。
肝心の内容ですが、前作とは違い、Kanyeさんのラップが戻ってきています。
一曲目の「Dark Fantasy」はキリスト教的なアンセムを含んだ曲で、ヒップホップではあまり聴いたことのないトラック。
一曲目から期待が膨らむような曲ですね。
「おーおお」という声が入っているんですが、これは三曲目の「POWER」でも聴こえてきます。
他の曲もそうなんですが、何処か民族音楽的な要素を感じます。
ヒップホップのトラックって結構音数が少ない曲が体感多いような気がするんですが、このアルバムの曲は結構音が詰め込まれている感じがあって、曲名らしく「POWER」を感じられます。
King Crimsonの名曲「21st Century Schizoid Man」が大胆にサンプリングされていてかっこいいです。
五曲目の「All Of The Lights」はリアーナ(ハーフタイムショーでも歌ってましたね)等の色々な豪華アーティストが参加している曲。
ドラムのスネアの連打がかっこよくてノリノリです♪
Kanyeさんのアルバムなのに、後半は本人の声が全然出てこない笑
なんというか、このアルバムは曲の中でKanyeさんよりもフィーチャリングしているアーティストさんのパートの方が長い曲が結構あるので、ラッパーでもありながら、プロデューサーでもある面が強く出ているような気がします。
その辺りが今までのアルバムとちょっと違うかなと思ったり。
八曲目の「Devil In A New Dress」もほぼ半分をリック・ロスという方が歌っています。
サンプリング元のボーカルを滅茶苦茶加工した感じのトラックが面白いですね。
壮大なサウンドがいい。
また、ヒップホップでは殆ど聴けないギターソロパートがあって驚くんですが……
9分にも及ぶ大曲である九曲目の「Runaway」では後半の数分では加工が施されたKanyeの声と、ストリングスによるパートとなっています。
単純なピアノの単音メロディに導かれるように進行していく曲なんですが、この音が何故か病みつきになります。
こんな大曲は今のヒップホップでもあまり聴けないので、2010年の時点で凄い実験をやってたんだなと思います。
12曲目はインディロックでは有名なBon Iverが登場する「Lost In The World」
ボコーダーによる加工された声が癖になる。
途中のパートで様々な声が折り重なる所は圧巻。
そして、その流れを引き継いで最後の曲「Who Will Survive In America」
ここでまた三曲目の「POWER」で聴けた「えーえ」パートと似た部分を聴くことができます。
「Who Will Survive In America」と強烈なメッセージを繰り返した後、大勢の人の拍手でアルバムは幕を閉じます。
まるで、一つの映画を見たかのような満足感がありますね~
まとめ
バラエティに富んでいて、実験性に溢れていて、かつ、ポップである……ここまで評価される理由がわかるような気がしました。
誰にでも勧められるそうなアルバムですが、一時間越えと長いアルバムなのでその点は厳しいかもしれません。
ですが、聴いても後悔しないアルバムなので、聴いていない人は聴いてみてください。
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