追記:加筆修正
Kanye West-『808s&Heartbreak』の感想及びレビュー
このアルバムを一言で表すなら、前作の『Graduation』で見られたシンセサウンドはそのままに、ラップの代わりにKanyeの歌声が入ったアルバムとなるんでしょうか。
いや、厳密に言えばそれは正しくありませんね。
前作にあったポップ性は少なくなり、『Heartbreak』というタイトルのように物憂げでミニマルなサウンドが繰り広げられています。
オートチューンを施されて加工されたKanyeのボーカルは正直聴きにくいなと思うこともあるんですが、それが悲痛な叫びのようにも聴こえるときがあります。
まさか、ラッパーがラップしないなんてと驚ちゃいますね。
ヒップホップではないと言えそうなアルバムではあるんですが、まあ、このアルバムが出てから何年かして、「エモラップ」の台頭とかで、うっすらとオートチューンをかけたり、歌うようなラップをする人も増えてきたので、少なからずヒップホップに影響を与えたアルバムと言えるのかもしれません。
あと、題名にある「808」は現在のヒップホップの主流であるTrapの低音部分を担ってますしね。
とにかく、それまでの彼とは違ったサウンドが広がっているアルバムだと思います。
三曲目の「Heartless」は笛っぽい音が印象的な曲。
まだこの曲はラップぽいパートがありますね。
シンセポップ的なんだけど、やっぱり何処か暗さが残る感じ。
6曲目の「Paranoid」はダンスポップみたいな感じの曲。
近未来的なイメージが思い浮かぶようなシンセ音を中心に構成されていて、有機的な音が全然感じられない。
EDMチックなスネアの連打があったりしてね。
あと、完全に歌ってますね。
当時を知ってるわけではないですが、ここまで路線が変わるとリスナーも驚きというよりかは戸惑いが先行している人の方が多そうな気がします。
8曲目の「Street Lights」は波打つような電子音と、ピアノの音がもの悲しげな曲。
個人的にはこのアルバムの中で一番好きな曲ですね。
途中で入ってくる女性のコーラスが荘厳で美しい。
聴いていると、何処か遠くを見つめたまま立ち尽くしているような気分になります。
11曲目の「Coldest Winter」は両サイドで鳴るドラムが印象的な曲。
最も寒い冬というタイトルも好き。
聴こえてくるオルガンの音も何処かひんやりとして聴こえます。
…………
うーん、正直、このアルバムの曲の感想を書くのは難しいですね。
アルバム全体を覆う雰囲気っていうのは好きなんですけど、かといって全曲素晴らしいのかっていうと個人的にはうん……って感じですかね笑
ラップなら全然歓迎なんですけど、聴いていると「Kanyeの歌声じゃなければな……」と思うことが多々あります。
個人的にはあまり……って感じなんですけど、癖になる人はいるのかなと思います。
是非、聴いてみてください。
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