『Magical Mystery Tour』の感想及びレビュー
今回聴いていったのはThe Beatlesの9枚目のアルバムである『Magical Mystery Tour』です。
本作は同名の映画のサウンドトラックのようなのですが、映画の方はかなり散々な評価をされているみたいですね。意味がわからないと書かれているのを何処かで見た記憶があります。私は『Magical Mystery Tour』という映画を見たことがないのですが、そこまで言われていると逆に見たくなってしまいますね。
そんな評価の芳しくない映画なんですが、だからといってこのアルバムもよくないのかというとそうではないです。私としては他のThe Beatlesの名盤に匹敵すると思うくらいに素晴らしい作品だと思いましたね。
まずは一曲目の『Magical Mystery Tour』
Sgtを思い出すような、ブラスがあしらわれた明るめな楽曲です。Sgtはライブの始まりを告げるような感じでしたが、こっちはパレードの始まりを告げているような感じでしょうか。この頃のThe Beatlesのポップソングには外れがありませんね。
無論、しっとりとした曲もお手の物です。
これまでのアルバムであったサイケデリックな要素もちゃんと感じられます。どの曲にもその要素があるというわけではないのですが、4曲目のBlue Jay Wayなんかはかなり色濃く感じられますし、それでいてメロディも陰りがある感じがいいですね。
と、前半は様々な楽曲が収録されていてかなりいいです。
もちろん、後半のシングル曲パートも素晴らしいです。
The Beatlesはシングル曲はアルバムに収録しないというルールを設けていたらしいです。これによってアルバムの曲は全て新曲になって新鮮ですし、統一感を作り出すことが可能になっていると思います。ですが、その分、個々の楽曲が弱くなりがちです(強い楽曲はシングルにしてしまいがちですからね)。
ですが、このアルバムの後半は全部シングル曲になっています。当時聴いていた人はつまらなかったかもしれません。私は当時の人間じゃないのでシングル関係なくアルバム収録曲として聴いていたわけなんですが、これが名曲だらけなんですよね。
Hello,Goodbyeはクオリティの高いポップソングですね。メロディが癖になります。特にギターのフレーズが単純ながらに素晴らしいです。
壮大な楽曲であるStrawberry Fields Foreverも素晴らしい楽曲。昔の楽曲って音圧が弱かったり、楽器数が少なかったりして迫力があまり感じられないことが多いのですが、この曲は十分に迫力がありますね。
この後もPenny LaneやAll You Need Is Loveなどの名曲ラッシュで、最後まで飽きずに聴けました。後半の方がインパクトのある楽曲が揃っているというのも珍しいですね。
私は「The Beatlesの一位を選ぶとしたら『Revolver』か『Abbey Road』だな」と思っていたんですが、そこにこのアルバムも加わってしまいましたね。本当に名盤が多くてランキングを作るのが難しいです。
後半だけをとるなら、The Beatlesの入門として勧めるのもいいのかなと思ったりしました。
是非、聴いてみてください。