
「Lotus」- Little Simzのレビュー感想
UKヒップホップ界のスターであるLittle Simzの新譜を聴きました。
個人的に彼女の「Sometimes I Might Be Introvert」という作品が好きなので、とても楽しみに待っていました。
Hip Hopというジャンルでここまで壮大なオーケストラサウンドを取り入れたのが素敵だと思います。
先行曲の段階でそういった作風ではないことはわかっていたのですが、それでもとても期待して聴ける日を待ち続けていました。
そうして今日聴いてみた感想ですが、今回もクオリティの高い素晴らしい作品を送り出してくれたなと思います。
3曲目のYoungで「あれ、大丈夫か?」となりましたが、心配は無用でしたね(というかこの曲だけ浮いている気がする……)。
全体的にミニマルな構成の楽曲が多いですが、今作ではアコギやストリングスの柔らかな音が多く聴けるような気がします。
そこに絡みつくネオソウルな鮮やかなボーカルがこれまた素晴らしいです。
単調になりがちなHip Hopに彩を与えてくれていると思います。
今作は物悲しい、なにかを喪失してしまったような、そんな空虚さが感じられるようなサウンドでとても好きですね。
そんな音像の中で低い声で淡々と紡がれていく決して派手ではないラップがあっています。
私はフィーメールラッパーに詳しいわけではないですし、ラップの専門家でもありませんが、彼女のスキルはかなり高いものだと再認識しましたね。
ただ、個人的に彼女のラップではない音程のある歌の部分はあまり好きじゃありません。
上であげたYoungもそうですが、1曲目のThiefも滅茶苦茶いいのに彼女のボーカルが個人的にはあまりはまらないんですよね……低音を利かせたフロウがやっぱり持ち味だと思います。
本作は素敵な楽曲も多いですが、真ん中あたりの楽曲はちょっと微妙かな。後半で盛り返してくるけどね。
「Sometimes I Might Be Introvert」を超えるほどの作品ではなかったですが、それでも素晴らしい作品でしたね。
個人的に好きな楽曲
4.Only
ボサノヴァを下地としたアダルティな雰囲気漂う楽曲。
この落ち着いた感じがたまりません。Hookのボーカルメロディも聴いていて心地いいです。
5. Free
先行曲。
最初聴いたときビビッと来ましたね。
控えめに紡がれるアコギの音とボーカルがこれまたスムース。
12.Lonely
個人的に本作で一番好きな楽曲。
後半の折り重なっていくストリングスがただただ素晴らしい。そうそう、こういうのを求めていたんですよ。
ドラムの乾いた音も何気にクール。
評価
点数にするなら81点といった感じ。
個人的に前作のNO THANK YOUがあまりハマり切れずEPのDrop 7もイマイチだったんですが、今作は結構耳に馴染んで良かったですね。
結構なペースで作品を精力的に発表しているラッパーなので、これからも追いかけていきたいですね。
あと、アルバムジャケットが好き。

