『The Seer』-Swansのレビュー及び感想
今回、聴いていったのはSwansの『The Seer』です。
少し前に同バンドの『To Be Kind』というアルバムの感想記事を書いたんですが、『The Seer』はこのアルバムの一つ前に発表されたアルバムです。順序が逆になってしまいましたね。
どうして最近Swansを聴いているのかというと、今年の6月に新作『The Beggar』が出るからですね。凄く楽しみなので、再結成後のアルバムを少しずつ聴いていこうかなという感じです。
『To Be Kind』と『The Seer』、両者のアルバムを比較すると、『The Seer』の方が何処か呪術的な雰囲気が感じられるような気がします。
一曲目のLunacyは宗教的な雰囲気が感じられますね。Lunacyと繰り返すパートもそうですが、後半の唸るような低い声によるハモリパートが特に宗教的です。
全体的に見るとそこまで宗教的な要素は強くないのかもしれませんが、この曲が強烈すぎてそういったイメージを持ってしまいますね。
このアルバムもまた収録時間2時間超えとリスナーを試しているのかと思うくらいに重厚な作品になっているのですが、こちらの作品は『To Be Kind』ほど印象に残るような、強く癖になるリフはあまりないように思います。それなら最後まで聴くの厳しくない?となるかもしれませんが、実際に聴いてみると意外とすっと聴けちゃいます。
それは途中にフォーク的な曲が挟まるからですかね。
6曲目のThe Daughter Brings the Waterから「ん?」となりますね。あれ、これ本当に今まで聴いていたアルバムと一緒か?と一瞬戸惑ってしまいます。二分と短めですしね。
そして、それ以上に驚いたのが7曲目のSong for a Warrior。
女性ボーカルが入った穏やかな楽曲となっています。最初聴いたときは先ほどまでの嵐のようなサウンドは何処に?となってしまいましたね。普通に聴きやすくていい曲です。
こういった曲が入ることによって、『To Be Kind』とは別の理由で最後まで聴きとおせましたね。一回、気持ちがリセットされるというか……まあ、この後に約20分の曲が二曲続くんですけどね。
実験的なドローンサウンドだったり、インダストリアルで攻撃的なサウンドだったりと、刺激的な曲ばかりでそういったものを求めている人には必聴の作品だと思いましたね。
個人的に好きな曲は1曲目のLunacyと6曲目の93 Ave.Bluesでしょうか
即興的なカオスサウンドが好きです。
十分に素晴らしいアルバムなのですが、私は次のアルバムである『To Be Kind』の方が好きですね。あっちの病みつきになる執拗なリフの繰り返しがたまらなく好きなんですよ。この辺りは好みの違いでしかないので、こっちのアルバムの方が好きという人もいるとは思いますがね。
仮に点数をつけるとしたら86点/100点でしょうか。素晴らしい作品だと思いますね。是非、聴いてみてください。