「A Crow Looked at Me」- Mount Eerieのレビュー及び感想
私はフォークというジャンルの音楽が好きです。アコギの素朴な音が、ピアノの優しい音が好きで、その少ない音数で構成される小さな世界が好きです。
ですが……少し激情を帯びたような、はたまた暴れまわるような……所謂avant folkと呼ばれるものも好きです。
そんなavant folkを代表すると言っても良さそうなミュージシャンにThe Microphone……もとい、Mount Eerieという方がいます。
基本的に私は彼の作品はどれも好きでして、特に上の記事でも挙げてる「Mount Eerie」は今まで聴いた作品の中で五本指に入るくらいには愛してる作品です(しかしややこしいな)。
しかし、好きなアーティストだから全ての作品を好きになれるわけではないのです。
私にとっては「A Crow Looked at Me」というアルバムがそれに該当していました。
歌っているテーマは端的に言えば『死』でしょうか。妻を亡くした彼特有の俯いて、歌声と呟きの間にあるような声が余りにも悲痛に響くアルバムです。
楽曲はアコギ、エレキギター、ピアノ、ベースと少ない楽器で構成され、そしてどれもテンポが遅いどっしりとした重たい雰囲気があります。ドラマティックな展開もサウンドもなく、自然と耳を通り抜けるような感じです。
先に「好きじゃない」と書きましたが、実際の所は「どう聴けばいいのかわからない」なのかもしれません。
私がMount Eerieの作品が好きなのは宅録感のあるLofiなサウンドだったり、時折入る襲い掛かってくるようなノイズだったりがあるからなんだと思います。ですが、この作品にはそれが取り払われ、ただただ素朴でシンプルな音が展開されています。
だから、最近までは聴いてもピンとこなかったこの「A Crow Looked at Me」だったんですが……最近聴き直してみると、結構いいと感じられるように。
私は英語が得意ではないですし、このアルバムの内容を完全に理解できているわけではないです。ですが、歌声が、奏でられる音が、このアルバムを作るもの全てがやはり悲しみに満ちていて、聴きながら自分のことと重ねてしまうんですよね~。
それはやはり必ず訪れる自分の愛する人を亡くしてしまう未来だったり、全くアルバムの内容とは関係ない悲劇的な想像だったりと、様々なことが聴いていて頭の中を巡っていくような感じ。同調っていうのかはよくわからないですが……浸りたいときに聴きたくなります。
なんだか、一人でいるときに傍に置いておきたいような……そんなアルバムだと思いましたね。
一番好きな楽曲:Ravens
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