「You Won’t Get What You Want」- Daughters
ふと、自分が音楽を聴くときなにを楽しんでいるんだろうと考えるときがあるんですが、やはり、耳に馴染むキャッチ―なメロディだとか、未知との遭遇的な型にはまらないサウンドだとかなのかなと思います。
やはり、素晴らしいメロディは頭に残りますし、好きになっちゃいます。売れている楽曲はどれもこの頭から離れないメロディラインが標準装備な感じがしますし、曲を作るのに重要な要素なのは間違いないのかなと。
なんですが、それだけじゃないのが音楽の面白い所だなと思うときもあって、今回聴いた「You Won’t Get What You Want」は、個人的にはそう思わせる要素のある作品でした。
1曲目のCity Songの印象が強いからそう思うだけかもしれませんが。
Nine Inch Neilsのようなインダストリアルで攻撃的なサウンドが耳に残るアルバムですが、1曲目からただならぬ雰囲気を漂わせてます。全体的に追いかけられるようなメロディラインが見当たらなくて、ドラムと伸ばされたシンセ? ギター音が鳴り続け、ぼそぼそと呟くようなボーカルも何処か頼りない。
なのに、どうしてか滅茶苦茶耳に残るんですよね~。
個人的に一番好きな楽曲は2曲目のLong Road, No Turns。
ミニマルな構成で永遠に同じようなリフが繰り返されるような感じなんですが、この病的な雰囲気が病みつきになります。
普通、心が安らぐのって穏やかな楽曲を聴いたときのはずで、こういった楽曲はそういった曲と対極にあるはずなのに、どうしてか聴いていると不意に心地よさみたいなのを感じるときがあるのが不思議です。
雑音の中に混じる美音というか、音に包まれている感がいいのかも?
とにかく、好きな楽曲が多いアルバムです。
3曲目のSatan In The Waitの突然キラキラと煌びやかになるのがたまらないですし、6曲目のLess Sexの淡々としながらも熱を帯びたような雰囲気が好きで、名曲ばかりです。
全体的にノイズが目立つかなり人を選ぶような作風ですが、個人的には名盤だと思いますね。
しかし、インダストリアル・ロックってなにか工業的な機械を使っていたりするわけではないのに、「滅茶苦茶インダストリアルだ……」と納得できるのはなんでなんだろうか。
とにかく、聞いたことのない方は是非聴いてみてください。
一番好きな楽曲:Long Road, No Turns