『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』-Godspeed You! Black Emperorのレビュー及び感想
今回、聴いていったのはGodspeed You! Black Emperorの『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』です。
ポストロックの名盤としてよく上がっていて、ポストロック好きな私も大好きな作品です。アルバムタイトルである『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』は訳してみると細い拳を天にアンテナを張るように突き上げるといった感じでしょうか。なんとなく、立ち上がれといった感じのメッセージ性がありそうなタイトルですね。
因みに、バンド名は日本の映画の名前が由来なんだとか。
ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーは、90 年代の初頭にエフリム、マウロ、そしてモヤから始まった。そして、グループを大編成のバンドに変えることに決める前に、トリオとして数回ライヴを行い、自主でリリースしたカセットを録音した。1995 年から1996 年にかけて、多数のモントリオールのミュージシャンを募集し、1997 年にコンステレーションからのアナログのみのデビュー・アルバムを録音する前に、GYBE は14 人ものミュージシャンと数台の16 ミリ映写機をフィーチャーし、感覚を揺さぶるウォール・オブ・サウンドなパフォーマンスを開始した。彼らは、倉庫のスペースをホテル2 タンゴというバンドのリハーサル・ルームであり、シルクスクリーンと木材の店であるDIY 活動の拠点へと作り変え、週末にはそこでこっそりとライヴを行った。グループは1998年後半までにエイダンとブルースがドラム、ティエリーとマウロがベース、エフリム、デイヴとロジャーがギター、ノルソラとソフィがそれぞれチェロとヴァイオリンという、パーマネントな9 人編成のラインナップに定着した。
https://grumblemonster.com/music/gybe/
バンドにしては大所帯な楽器構成が特徴的なバンドなんですが、その幅広い楽器を用いた広がりがあるサウンドが素晴らしいと私は聴いて思いましたね。
まずは一曲目の『Storm』
静かに始まっていき、段々と楽器が足されていくのが素晴らしい。旋律も美しいですし、うっとりとしてしまいますね。そして、一回盛り上がりが一回頂点に達すると、一気に萎んで穏やかになり、静かなパートに続きます。
この曲は20分以上あるんですが、このアルバムに収録されている4曲はどれも20分近く、もしくは20分以上あります。この時点で人を選ぶので、比較的聴きやすい(と思われる)一曲目を聴いて駄目そうだったら聴くのをとりあえず止めた方がいいと思いますね。
2曲目のStaticは素晴らしい楽曲なんですが、
1曲目と比べると盛り上がるまでに時間がかかるので人を選ぶ気がします。この曲はリズムがちょっと複雑なんですが、繰り返されるメロディが病みつきになりますね。多分3/8+5/8かな? 繰り返された後に段々とテンポが上がっていき、最高潮にまで登り詰めて爆発する感じが素晴らしいです。
ノイジーなギターと、美しいストリングスの絡み合いがいいんですよね~。ドローン的なパートもあるわけなんですが、どの曲も盛り上がっていくパートが必ず挿入されているので、そのインターバルと思えば聴きやすいです。
ノイジーなギターに関しては3曲目のSleepが一番聴けると思います。
これもフレーズ自体はシンプルなんですが、病みつきになってしまうようなサウンドですよね。途中のドラムがスネアを連打し始めるパートからの盛り上がりが最高です。
一曲聴くだけで、一本の映画を見たかのような満足感があります。ここまで重厚な作品は探してもそこまでないでしょう。
その分、全曲を通して聴くのは結構きついときがあります。胃もたれしそうです。あと、四曲目も十分にいい曲なんですが、他の三曲と比べるとあまり好きじゃないかな。なので、聴くときは三曲目まで聴いて止めちゃうことが多いです。
それでも、途轍もないパワーのある作品だと思いましたね。
是非、聴いてみてください。