『To Be Kind』-Swansのレビュー及び感想
今回、聴いていったのはSwansの『To Be Kind』です。
「アンダーグラウンドの帝王」と呼ばれているくらいなので、インターネットが発達していない時代だったら知る人ぞ知るバンドという立ち位置だったんでしょうかね。何処でも情報がすぐに手に入る現代だと、メジャーシーンとインディーシーンの間が曖昧になってしまっているような気がするので、評価されているSwansも結構多くの人が知ってるんじゃないかと思います。
しかし、知られているからと言って多くの人に聴かれるかというと、それは否だと思います。Swansのはまさにアンダーグラウンドというイメージにあうような攻撃的な音楽性を有するバンドだと思うからです。
Swansは1982年、マイケル・ジラを中心にニューヨークにて結成されたバンドである。翌年にはアルバム『Filth』でデビュー。そのメタリックかつノイジーなギターサウンドと、インダストリアルなビート、ありったけの憎悪を撒き散らすようなマイケルのボーカルは、シーンに大きな衝撃を与えた。
Sonic Youthと並ぶNYアンダーグラウンドの帝王Swansとは?
その頃ニューヨークでは、サーストン・ムーア(Sonic Youth)やジェームス・チャンス、リディア・ランチといったミュージシャンたちが、パフォーマンスアートやメディアアートなどと結びついた活動を精力的に行なっており、「ノーウェーブ」と呼ばれるムーブメントが形成されつつあった。Swansはその中心的な存在として、最初の解散までニューヨークのアンダーグラウンドを牛耳っていくのである。
一度解散していて、解散する前はかなり凶暴な音楽性だったのですが、解散後は若干マイルドな音楽性になっています。それでもかなり強烈なサウンドが聴けるバンドではあるのですが。
もう一曲目のScreen Shotからただならぬ雰囲気を感じます。かなり強固で癖になるようなフレーズを執拗と言っていいくらいに繰り返しています。このアルバムの曲はもうそんな感じの曲ばかりです。
しかも、一曲一曲が10分や20分とかなり長いんですよね。しかも、その長い時間、ずっと同じフレーズが繰り返されていきます。これが本当に時間を感じさせないくらいに病みつきになるものばかりでたまらないんですよね。
あと、ボーカルのマイケル・ジラの呪詛のようなボーカルも癖になります。聴いていると頭がおかしくなってしまいそうな音楽です。
ジャズ、ポストパンク、ブルース、ドローンなどの要素を交えながら、ここまでエクスペリメンタルなロックに仕上げているのが凄いと思いましたね。なんだか、暗黒面に落ちているようなサウンドに圧倒されてしまう作品でした。
ただ、やっぱり2時間は長い。私の耳や心の耐久力を試しているのかと思うくらいには長い。
なので、一曲目を聴いて「ああ、無理だな」と思ったら聴くのを止めた方がいいかもしれませんね。私の場合は病みつきになってしまって、ふとしたときに聴いてしまいます。
他の音楽では体感できない、素晴らしい体験をさせてくれる作品だと思います。是非、聴いてみてください。