『Pink Moon』-Nick Drakeのレビュー及び感想
今回聴いていくのはNick Drakeの最後のアルバムにあたる『Pink Moon』です。このアルバムが最後になってしまったのはこのアルバムを発表後、Nick Drakeが亡くなってしまったからですね。
素晴らしいアルバムなんですが、この作品を作っている頃には既にうつ病で苦しんでいて、そんな彼が死ぬ前に残した最後のアルバムという事実がこのアルバムの評価を底上げしているような気がします。やっぱり、死と作品を切り分けるのは難しいですからね。
1969年の『Five Leaves Left』と1971年の『Bryter Layter』に続く新作を制作する予定も特になく、ニック・ドレイクはアイランド・レコードのトップであり、彼を心配していたクリス・ブラックウェルたっての願いで、クリス・ブラックウェルのスペインの別荘で療養した。しかしニック・ドレイクはこっそり抜け出し、プロデューサーのジョン・ウッドと新しいアルバムをレコーディングした。それは1971年10月にロンドンのチェルシーにあるサウンド・テクニックでのたった2日間の深夜のセッションで完成した。のちにジョン・ウッドは「何かしらの切迫感があるように感じた」と話している。
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そんな作品はいったいどのような音楽なのか。
それでは聴いていきましょう♪
全曲感想
※赤太字は一番好きな曲、赤字は好きな曲です。
①Pink Moon
アルバム表題曲。アコギの旋律がただただ美しいですね。途中で入ってくるピアノもアクセントとなっていていい感じ。
②Place To Be
これまたアコギのメロディが綺麗です。ストロークでピックと弦が擦れるような音まで聴こえてくるのがいいですね。
③Road
アコギ一本の曲なんですが、低音と高音が独立して動いているようなメロディがいいですね。
④Which Will
素晴らしい楽曲。一定の高音部分に反して、動き回って主旋律と化している低音のフレーズがただただ好きです。繰り返されるフレーズが心に染み渡っていきます。
⑤Horn
シンプルなインスト曲。低音と高音のずれが癖になります。
⑥Things Behind The Sun
Nick Drakeの高音ボーカル部分がいいですね。アルバムの中では長めの曲ですが、全然短く感じられます。
⑦Know
今までとはちょっと雰囲気が違う楽曲。繰り返される不安げなアコギのリフが耳に残ります。
⑧Parasite
これもアコギの旋律がいいですね。それしか言えないです。
⑨Free Ride
ボーカルに沿うように展開されていくアコギのメロディがいいですね。こういう重なり合っていくのは好きですね。
⑩Harvest Breed
怪しげな雰囲気のアコギがいいですね。これも低音と高音が別々に動いている感があってシンプルながらトリッキーです。
⑪From The Morning
光が差し込んできそうな、希望を感じさせるような美しい楽曲。最後にゆっくりになっていくのが終わりを告げているようで切ない。
総評
シンプルで素朴な美しいフォークアルバムだと思いました。
アコギ一本の無駄を削ぎ落したサウンドなんですが、ピックと弦が擦れるような音まで聴こえてきます。それがまるで目の前で弾いてくれるように感じられるのがいいですね。息遣いでさえ耳に届きそうです。一対一で対話をしているような気さえしてきます。
そして、アコギのみの音にすることで、Nick Drakeのボーカルがより鮮明に響いてきます。彼の悲しげな低音ボーカルを聴いていると、何処か切ない気持ちになってしまいますね。声ではなく彼の人生に同調してしまっているのかもしれませんが、私はこのアルバムを聴くと毎回悲しい気持ちになってしまいますね。
ただ、ひたすらに28分間、耳に届き続ける美しいメロディがたまらないアルバムでした。
是非、聴いてみてください。
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