『Raven』-Kelelaのレビュー及び感想
今回聴いていくのはKelenaさんの『Raven』です。今年の二月に出て話題になってたんですけど、1時間というのを知って中々手を伸ばせなかったんですよね~。
Kelelaとは、アメリカのシンガーソングライターです。2013年にミックステープ『Cut 4 Me』でデビューし、オルタナティブR&Bやエレクトロニックなサウンドで注目を集めました。2015年にはEP『Hallucinogen』を、2017年には初のスタジオアルバム『Take Me Apart』をリリースしました。2023年には6年ぶりのセカンド・アルバム『Raven』を出しました12。彼女はエチオピア系アメリカ人で、ワシントンD.C.出身です1。
https://en.wikipedia.org/wiki/Kelela https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/33469 https://qetic.jp/music/kelela-230208/446045/
それでは聴いていきましょう♪
全曲感想
※赤太字は一番好きな曲、赤字は好きな曲。
①Washed Away
シンセ音にリバーブの深いボーカルが乗る形。ビートがないのも相まって、Frank Oceanがまず最初に思いつきました。アンビエントっぽさもありますね。最初から没入感が高まります。
②Happy Ending
不穏なシンセ音と早急なビートで進んでいく曲。変わらないビートの上で変化していくボーカルがいいですね。ボーカルを抜いたらIDMとしても聴けそう。
③Let It Go
ベースラインが好きですね。広がっていくようなボーカルが聴いていて心地いい。
④On the Run
ビートはあるんですが、掴みどころのないトラックですね。すっと聴けていいです。
⑤Missed Call
ビートはかなり早い感じなんですが、曲調自体は穏やか。ゆったりとしていて好きです。これもIDMっぽさを感じます。
⑥Closure
ハモリが美しい楽曲ですね。途中で入ってくるラップの裏で響く淡いボーカルがこれまたいい。
⑦Contact
これまたIDMっぽい曲。浮き上がってくるようなシンセ音も合わさり、浮遊感のある楽曲ですね。
⑧Fooley
不穏な始まりに心惹かれる曲。不安を煽るような暗い曲調がたまりません。
⑨Holier
ドラムレスな、冷たいシンセ音に包まれた世界がいい。
⑩Raven
タイトル名と同じ名前の曲。気が抜けそうになるシンセ音がいい。これまたアンビエント的な要素をひしひしと感じられる曲で、段々と音が追加されていって盛り上がっていく。
⑪Bruises
金物っぽい音がいいですね。段々テンポが落ちていって終わっていくのもいい。
⑫Sorbet
穏やかな曲調。これもアンビエント的なR&Bですね。
⑬Divorce
空間を感じられるようなサウンドが素晴らしい。かなり音数が絞られたシンプルなトラックがいいですね。
⑭Enough for Love
ポップなギターみたいなサウンドが癖になる曲ですね。希望が見えるようなこのアルバムでは珍しい、明るい感じの曲でいいですね。
⑮Far Away
最後もちょっと明るめで開放的な楽曲。自由なボーカルが聴いていて気持ちいいですね。あっけない終わりが逆にいいですね。
総評
透き通るようなサウンドが素晴らしい洗練されたR&Bアルバムだと思いました。リバーブが深くかかったボーカルは今年に出た『Red Moon In Venus』でも聴けたもので、曲に広がりを与えていていいと思います。
アンビエントやエレクトロニカといった要素を感じられる曲たちで、ぼんやりとしたサウンドが耳に心地よかったです。複雑でありながらも、響いてくる音がどれも美しいので、何の苦もなく聴けました。
一時間と長めという理由で手を出していなかったことを後悔しましたね。充実した一時間を過ごせました。あまりこのアルバムの曲を流して踊るという光景は想像できませんが、しっとりとした夜に似合いそうだなと思いました。
是非、聴いてみてください。