※2024/11/23に更新。
現時点(2024年11月時点)までのKendrick Lamarのオリジナルアルバムを全て聴いたので、今回は個人的な彼のアルバムランキングを作成してみました。
ケンドリック・ラマー・ダックワーズ(Kendrick Lamar Duckworth、1987年6月17日 – )は、アメリカ合衆国のラッパー、ソングライター、音楽プロデューサーである。度々「ヒップホップの新王者」と称される[1][2][3][4]。
引用:Wikipedia
最近、日本のフェスに来たってことでかなり盛り上がっていましたね。
もう、とにかくレジェンドという人物ですね。今まで彼が出した5枚の作品はどれも評価が高く、リアルタイムで聴けているのが幸せってレベルです。
「このアルバムがおすすめ!」といった感じではなく、ただ私がどこが好きでどこがあまり好きじゃないかをだらだらランキング形式でだらだら書いていく自己満記事です。ですが、紹介していく中で気になるアルバムがあって「聴きたい!」となってくれたのなら幸いです。
それでは第6位からです。
個人的Kendrick Lamarアルバム・ランキング
6位:DAMN.(2017年)
第6位はピューリッツァー賞を獲得した4thアルバムです。
前作にあったジャズやファンクといった要素は抜け、Trap的なアプローチの楽曲が増え、評論家の評価だけでなく大衆の人気も狙いに来たような感じの作品。そんな思惑があったかどうかは私は知らないんですが、アルバムの中だとHumbleがメガヒットし、「自分が音楽界の頂点にいる」ということを一部ではなく全世界にさらに広めたような作品のような気がします。
1曲目のBLOOD.から一気にアルバムに引き込まれますし、そこからの2曲目のDNA.の唸るような低音を利かせたトラックに乗るLamarのあまりにも早すぎるラップがクール。4曲目のELEMENT.等、ちょっとチルっぽい雰囲気の楽曲もあったりします。
たまたまTwitterで行われていたランキングを見たら、他の彼の名盤を差し置いてこのアルバムがぶっちぎって投票されていた記憶があるので、本当に人気があるアルバムなんだと思います。
……なんですが、私は全然このアルバムが好きになれていないんですよね~。DNAなんかは大好きなんですが、どの楽曲も軒並みトラックが弱い印象。どれだけLamarのラップが良くても、バックで鳴ってる音が全然私好みじゃなくて、あまり聴いてないですね。
もっと強く印象に残るようなトラックがあれば好きになれたのかなと思う作品です。
そんな感じの理由で本作を6位としました。
一番好きな楽曲:DNA.
5位:GNX(2024年)
唐突に出た6枚目のアルバムが5位です。
大ヒットしたNot Like Us等のビーフ曲の雰囲気を受け継いだような楽曲が多い印象で、どの楽曲もシンプルかつポップな印象です。
所々でストリングス等が彩を与えてくれるんですが、基本はループする感じなので、これまでの彼の作品の中でも聴きやすい部類に入るアルバムだと思います。
SZAが参加している楽曲など、メロウでしっとりとしたトラックも結構あっていい。
tv offでは珍しくLamarが叫んでいたりして、ラップ自体も前から変化しているような気がして、聴いていて面白いです。
ただ、微妙な楽曲もそれなりにあって、これまでの傑作と比べるとパワーが足りないかなと思い、この順位となりました。
一番好きな楽曲:tv off
4位:Section.80(2011年)
第4位は1stアルバムにあたるSection.80です。
本作が一番最初のアルバムになるわけなんですが、そうとは思わせないほどKendrick Lamarのラップが冴えわたっている印象です。リリックの面では次のアルバム以降にあるようなコンセプチュアルな要素は薄いんですが、その片鱗をこの頃から見せている感じはします。
トラックも1990年代を想起させるような、ソウルやジャズチックなメロウなトラックが並んでいます。それでいて、かなりポップな仕上がりになっているので、彼の作品の中だとかなり聴きやすい作品なのではないでしょうか。
2曲目のHol’UpのオシャレなブラスとHol’Upと呼び掛けるようなラップは耳に残りますし、3曲目のA.D.H.Dもいい曲です。
なにか突き抜けるようなものはあまりないんですが、素直に良い曲が並んでいるアルバムだと思いますね。
いいアルバムだと思いますし、最初に聴くならこのアルバムが入りやすいと思いますね。
一番好きな楽曲:HiiiPower
3位:Mr. Morale & The Big Steppers(2022年)
3位は5thアルバムです。
前作の『DAMN.』から5年ぶりの作品ということでしたし、先行で出ていたThe Heart Part 5がラテン的でクオリティが高く、かなり期待されていた作品だったように思います。
本作でやはり印象に残るのは美しいピアノのサウンドなような気がします。1曲目のUnited In Greifの性急なドラムビートに乗っているゆったりとしたピアノには熱を感じながらもうっとりとしてしまいますし、Crownはなんとビートレスのピアノだけで構成され、Mother I Soberは歌詞も相まって何処か神聖な雰囲気さえあります。
「もう、彼に語れることなんてあるのだろうか?」と思っていたんですが、本作のリリックが自分の内側を徹底的にさらけ出しているような感じで、ヒップホップでありながらもそれが切ないピアノにあっているのがいいですね。
誰かが「本作はKendrick Lamarにとっての『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』だ」と呟いているのを見かけたのですが、言い得て妙だなと思ったり。
ただ、2枚組というボリュームに対して、それぞれの楽曲のクオリティに差があるなと個人的に思ってしまいましたね。ただ、それでも後半の楽曲の流れは好きですし、十分にいい曲は揃っていると思いますが。
一番好きな楽曲:United In Grief
2位:good kid, m.A.A.d city(2012年)
2位はKendrickの半生を描いた自伝的な作品である2ndアルバムです。
リリックは主にコンプトン出身の彼の一日を表現したもので、途中で入るスキット等、音楽を超えて、何処か映画的な感じがします。大体、ラッパーの方の境遇って悲惨なことが多くて、Kendrickも同様に多くの困難があってもがき苦しんできたことが伺えるような内容となっているんですが、それに合わせるような形でトラックも結構暗めのものが多い印象です。
そのため、最初は中々聴きにくい人もいるかもしれないんですが、個人的にはこの暗さだったり、歌詞がわからなくてもひしひしと感じられる緊張感等がたまらなく好きですね。
Bitch, Don’t Kill My Vibeのチルっぽい感じはたまりませんし、m.A.A.d cityの病みつきになるシンセのリフと切り替わった後のストリングスを主体としたトラックも勢いがあっていいです。そして、12分にも及ぶSing About Me,I‘m Dying Of Thirstは前半のジャズっぽい何処か空虚な雰囲気と、後半の儚い響きを持った女性ボーカルを主体とした神秘的な雰囲気のトラックはどちらも素晴らしく、Hip Hopの歴史に残る楽曲だと思っています。
そんな感じで好きな楽曲が詰まったアルバムなんですが、しいて言うなら6曲目のPoetic Justiceや最後のCompton辺りは個人的にイマイチ。この辺りがもっとよかったらさらに完璧なアルバムなのになと思ったり。
素晴らしい作品だと思います。
一番好きな楽曲:Sing About Me,I‘m Dying Of Thirst
1位:To Pimp a Butterfly(2015年)
第1位はもう教科書に載ってしまいそうな(というか載ってる?)ほどの偉大な作品である3thアルバムです。
内容は当時のBlack Live Matter運動等黒人差別に関することで、私のような日本に住んでいる日本人にはあまり馴染みがない話というか、正直、あまり深くは理解できていないような気がします。しかし、それでも深く深くへと踏み込んでいった内容に目を離せなくなってしまいます。
楽曲もファンクやジャズ等、ブラックミュージックをふんだんに取り入れた多彩な楽曲ばかりで、1時間以上と長いながら最後まで飽きさせません。これまでのHip Hopでもこういったジャンルはよくサンプリングされてきてはいるんですけど、曲途中で展開を変化させたり、ただただループさせるだけではなかったりと、これまでのHip Hopとはちょっと違っていて、それでいて巧みなのが凄いですね。
特に1曲目~7曲目までの流れは素晴らしくて、時間がないときはそこだけ聴いてしまうくらいには好きです。8曲目から~10曲目で個人的にテンションが少しだけ落ちるんですが、11曲目から最後までがまたよくて、聴いていてどんどん興奮してきてしまいますね。
内容が理解できてもできなくても、聴いていて思わず体が動いてしまいそうな楽曲ばかりです。それだけだと「この作品を全然理解できていない」と言われてしまいそうですが、私としては内容そのものよりも、単純に収録されている楽曲が好きって感じで評価してますね。
どの楽曲もクオリティが高くて文句の付け入る隙が殆どないんですが、しいてあげるなら前述の8曲目から~10曲目が個人的にイマイチなのと、15曲目のiがMVバージョンと違っている点ですかね。
アルバムバージョンもサウンドだったり、Lamarの勢いのあるラップがあったりと、こちらのバージョンも大好きなんですけど、MVバージョンの最後の辺りのラインがカットされているのが寂しかったり……ちょうどいい具合にあわせてくれたらもっと好きだったなと思います。
名盤だと思いますね。
一番好きな楽曲:Alright
まとめ
いかがだったでしょうか? もし、聴いたことのない人が「聴いてみようかな」と思ってくれたのであれば嬉しいです。
それでは今回はこんなところで~。
1位:To Pimp a Butterfly(2015年)
2位:good kid, m.A.A.d city(2012年)
3位:Mr. Morale & The Big Steppers(2022年)
4位:Section.80(2011年)
5位:GNX(2024年)
6位:DAMN.(2017年)