「Cutouts」- The Smileのレビュー・感想
まさかの今年2枚目のThe Smileの新譜を聴きました。
本当にフットワークが軽いというか、Radioheadという重圧を感じなくていいのか、とてもラフな感じを受けます。「Radioheadで出せよ」という声も見かけますが、バンドだったらこのペースで新譜が出ることはなかったでしょう。その点、こうして多くの曲を聴かせてくれるのは嬉しいですね。
正直な所、先行曲は個人的に微妙な感じで、今年に出たもう一枚の「Wall of Eyes」を超える作品にはならなさそうだなとは思いました。ただ、アレンジの仕方は他であまり聴いたことのないような感じで新鮮ではありました。
グリーンウッドおなじみとなったペケペケ鳴るギターは本アルバムでも健在。ここ以外で聴いたことないよこんなギター……と、面白くはあるんですが私的には面白いだけで、耳が喜ぶサウンドかというとそうではないんですよね~。
と、そんな感じでThe Smileとはいえあまり期待していなかった本作なんですが、実際に聴いてみるといい作品だなと思いました。先行曲じゃない曲が軒並みいいんですよね~。
Instant PsalmはA Moon Shaped Poolを引き継いだようなストリングスが煌びやかに彩る楽曲で、うっとりとしてしまう楽曲。揺蕩うようなストリングスのサウンドが心地よい。
Colours Flyのインド的な雰囲気もたまらない。クラウトロックみたいな感じもあって、あまり変わらないビートの上を行き交う怪しげなサウンドがいい!
Eyes & Mouthのアダルトな雰囲気を纏ったロックもいい。よく聴いてみると、どの曲もベースが良い味を出しています。
そんな感じで良曲が多く、聴きどころもいっぱいある作品となっています。今までの2作と比べると少し落ちるかなという気はしますが、一定以上のクオリティに仕上げてくるのは流石の一言。
この調子だとRadioheadの再始動は遠そうですが、それ以外の活動は活発になりそうな予感がありますね。とても楽しみです。
一番好きな楽曲:Colours Fly