「빈자리 (Binjari)」-김반월키(Kimbanourke)のレビュー及び感想
最近の韓国の音楽シーンはシューゲイザーが熱いイメージがあります。ParannoulとかBrokenTeethとかね。
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まあ、熱いといっても熱心な音楽リスナーの間だけの話ではあると思いますが。やはり、人気なのはK -Popといったダンスポップ系で、こういった音楽が流行る可能性はかなり低そうですね。
ただ、個人的にはシューゲイザー以外に、韓国のFolkも好きな作品が多いです。例えば、空中泥棒だとか、Electron Sheepとかね。
今回聴いたのは김반월키(Kimbanourke)という1stアルバムである「빈자리 (Binjari)」という作品なんですが、その好きな作品に新たに加わる一枚だなと思いました。
最初は静かにアコギだけで弾き語り、途中からピアノや鉄琴といった楽器が楽曲に彩を加えていく感じ。透き通るようなボーカルも合わさり、まるで天国に連れて行ってくれるように思えるほど美しい。
聴いていてどうしてか真っ白ななにもない部屋のイメージが脳裏に湧いてきました。音が増え、楽曲は最後に向かってどんどん盛り上がっていくのに、何処へも飛んでいけない。そんな寂しさが滲み出るようなサウンドな気がします。
こういった湧いてくるイメージっていうのは人によって間違いなく違うとは思うんですが、個人的に美しく繊細な音っていうのはどうしてもこういうイメージが湧いてしまいます。
ただ、最後の13分にも及ぶ大曲Fixing My Gaze Aheadのラスト2分辺りでその切ない印象が少し払拭されます。電子音が加わった雄大なサウンドはやっと飛びたったような爽快感がありって、そして、残ったのは本当に空っぽになった白い部屋だけ……そんな感じ。
……と、ここまで書いておいて「全然違ったこと言ってたらどうしよう」と思ってアルバムタイトルの빈자리を翻訳したらBlank――つまり、空白という意味らしいので、全く見当違いなことを言っているわけではなさそう。
レビューというかポエム的な文章になってしまいましたが、とにかく伝えたいのは素晴らしい作品だということ。2024年の最初の方に出た作品ですが、2024年ベストにしたいほど好きな作品でした。
是非、聴いてみてください。
一番好きな楽曲:Thoughts : Moths