『Begin』-The Millenniumのレビュー及び感想
今回聴いていったのはThe Millenniumの『Begin』です。モノクロなアルバムジャケットが印象的ですね。
聴いたことのないアーティストだなと思ったら、このアルバムが出たのは1968年で、しかも、出したアルバムはこの一枚のみらしいです。そこまで昔だと本当に有名なアーティストしかわからないですね。
1960年代後半に活躍したアーティストというと、私がぱっと思い浮かべるのはThe Beatlesや、The Beach Boysですかね。前者は『Revolver』や『Sgt』、後者は『Pet Sounds』がやっぱり有名でしょうか。
このアルバムはそれらよりも後に出たアルバムなんですが、それらの要素をふんだんに感じられるような作品だなと思いましたね。
まずは一曲目のインスト曲であるPrelude。
かなりバロックポップ的なサウンドが聴ける楽曲となっています。明るい雰囲気がいいですよね~。
二曲目のTo Claudia on Thursdayは動き回るベースラインが病みつきになる曲ですね。そして、コーラスパートもあるんですがこれが癖になります。この時代の楽曲はこうしたコーラスやハモリがよく使われていて、楽曲を彩ってくれているのがいいですね。
このアルバムにはこうしたハモリやコーラスが多いんですが、やっぱりこういうのを聴くとPet Soundsを思い出してしまいますね。一曲目もバロックポップっぽい感じですし。
Pet Soundsは結構明るい曲もあれば、暗い曲もあるという感じなんですが、こちらはその中間辺りの雰囲気の曲で固められているような気がしますね。なので、Pet Soundsと比較するとそこまで派手な感じではないんですけど、やはり聴いていると意識してしまいますね。
あと、このアルバムは色々なジャンルを内包しているのがわかる曲が結構入っているのが聴いていて楽しかったですね。
例えば、三曲目のI Just Want to Be Your Friend。
穏やかな曲調でなんとなくボサノヴァっぽい雰囲気を感じられます。
そして、9曲目のSome Sunny Day。
こちらはバンジョーの音が聴こえてきて、どことなくカントリー的な楽曲になっています。
12曲目のKarmic Dream Sequence #1はこのアルバムの中で一番好きな曲なんですが、後半で琴の音が使われていて和風なテイスト。素晴らしい楽曲です。
そのジャンルの楽曲とまではいかないかもしれませんが、別ジャンルの要素を感じられるのがやはり実験性を感じますね。
因みに当時のこのアルバムの評価はどうだったのかというと↓
ミレニアムは、1968年に1枚のアルバム、 『ビギン』を録音した。 このアルバムは当時としては最先端だった8トラックのレコーディング機材を2台組み合わせ16トラックとして、巨額を注ぎ込んで制作され、そのレコーディングへのこだわり&費用は当時のロック史上最高額と言われていた。アルバムセールスのためのツアーをベッチャーが避けたことや、アルバムの難解さに尻込みをしたコロムビア側がプロモーションを躊躇した事から商業的には飛躍がみられず、多額を投資したコロムビアにとっても痛い結果となり、マーケットから除外されたミレニウムは活動を終え、ソロでそれぞれ活動をするようになっていった[3]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0_(%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89)
と、かなり難解に捉えられてあまり売れなかったみたいですね。個人的には聴いていてThe Beatlesの『Revolver』に匹敵するレベルの名盤だと思ったんですが、だからといって実際に売れるのは別の話ということなんでしょう。後半の楽曲は特にサイケデリック色が強いですし、なにかが違えば名盤として今以上に語られていたような気がします。
最後の曲であるJust About the SameなんかこのアルバムのTommorow Never Knowsと言っても過言ではないサイケデリックな名曲だと思います。逆再生の音も入っていますしね。
素晴らしいアルバムだと思います。是非、聴いてみてください。