『Everyday Life』-Coldplayのレビュー及び感想
最近のColdplayは明→暗→明といった感じで交互になっているみたいで、前作の『A Head Full of Dreams』の次作にあたるこの『Everyday Life』は、明の次である暗にあたるアルバムだと思います。
それもそのはず、この作品のテーマは1日の限られた24時間であり、戦争、紛争、難民危機、性差別、ハラスメント、銃規制、汚職や政治的腐敗といった中々センシティブな話題に触れた作品だからですね。歌詞だけではなく、音の部分においてもそういった要素を随所に感じられます。
また、少しだけColdplay初期の雰囲気を感じられます。
三曲目の「Trouble In Town」なんかの暗い雰囲気は間違いなく初期に近いものを感じます。
しかし、歌詞は初期のうじうじした少年の心模様みたいなものではなく、これまた有色人種が西側諸国でどのような扱いを受けているかといったことをテーマにしています。
そういった観点から見れば、初期に比べればこの曲も開放的で、外に向かっていく曲なのかもしれません。
最後に出てくる英語ではない言語もまた、この曲を補強しているように思えます。
五曲目のDaddyはColdplayらしい切ないピアノバラードに仕上がっています。聴いていて涙腺が緩くなってしまいますね。
しかし、これまでを経てポップな曲も作れるようになったColdplayなので、
10曲目のOrphansみたいなポップな感じの曲もあります。といっても、これまた歌詞が重たいんですけどね。子供の声とのハモリがいいんですよね。
アルバムを締めくくるEveryday Lifeもストリングスとピアノが素敵なんですよね。壮大なテーマのこのアルバムの最後にふさわしい曲だと思います。
完全に初期の頃に戻ったというわけではないのですが、様々な音が聴けますし、静かめな曲が多めなので、個人的には結構好きなアルバムですね。ただ、今までのアルバムに一曲は必ずあった、アルバムを象徴する大名曲のようなガツンとくる曲はないので、インパクトはあまりないアルバムだと言えるかもしれません。まあ、個人的にはそういった部分もお気に入りなんですけどね。
是非、聴いてみてください。