『Ants From Up There』-Black Country,New Roadのレビュー及び感想
Black Country,New Roadの『Ants From Up There』の感想及びレビューを書いていこうと思います。
去年、話題になっていたアルバムですね。私も話題になってすぐに聴いたんですが、間違いなく名盤だなと思いました。今回、聴き直してみたんですけど、それは変わらなかったですね。
因みに、こんな感じのバンド↓
ブラック・カントリー, ニュー・ロード(Black Country, New Road)は、2018年にイギリス、ケンブリッジシャーで結成されたロックバンドである。
タイラー・ハイド(ボーカル、ベース)、ルイス・エヴァンス(ボーカル、サックス)、メイ・カーショウ(ボーカル、キーボード)、ジョージア・エラリー(ボーカル、ヴァイオリン)、チャーリー・ウェイン(ドラム)、ルーク・マーク(ギター)で構成されている。
最初の2枚のアルバムには、アイザック・ウッド(ボーカル、ギター)が参加していたが、2022年にバンドを脱退している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC,_%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89
俗に言う、ポストロックとも呼ばれるジャンルのバンドなんですが、個人的にはArcade Fireらしさを感じたりします。どちらも男女混合の多人数バンドですし、サックスやストリングスといったあまり普通のロックバンドが使っていない楽器が使われているのもあって、聴いていると楽しそうに演奏している姿が目に浮かぶんですよね。そういうバンドはあまりなくて、個人的に好きです。
では、一曲ずつ聴いていきましょう。
全曲感想
①Intro
管楽器による快活なメロディに心が躍りますね。これからの曲に期待が高まるような感じです。
②Chaos Space Marine
一曲目の雰囲気をそのまま引き継いだような感じの管楽器のメロディが印象的ですね。サビのサックスとバイオリンのどんどん上昇していくような感じが好きですね。演奏している人たちが楽しそうに演奏している様子が目に浮かぶような快活な曲です。3分30秒という短さにできるだけ力を詰め込んだようなパワーのある楽曲だと思います。
③Concorde
1曲目とは裏腹に静かな楽曲。ここから盛り上がっていくのかと身構えていると、また静かになっていく感じで、聴いているとつんのめりそうになります。最後にためて爆発させるのかと思いきや、そこまでには至らないという感じ。
④Bread Song
これまた静かな曲。ギターの不穏なアルペジオがいいですね。強弱の激しいバイオリンの旋律も不安を煽ります。殆どドラムがないんですが、その分、楽器やボーカルがのびのびと自由にやっているように聴こえます。
⑤Good Will Hunting
ちょっと明るい感じのギターが主体となった曲。ギターとピアノのユニゾンがいいですね。コード進行が変わった感じに聴こえるので、ちょっと調べて見たいなと思ったり。この曲も最後に爆発する感じなんだけど、少し弱いなと感じますね。
⑥Haldern
サックスとピアノのメロディに癒されますね。特にピアノが本当に心に染み渡ります。静謐な雰囲気がたまりませんよね。サックスとバイオリンの掛け合いのようなパートもいいです。名曲だと思います。
⑦Mark’s Theme
なんというか、生々しいサックスの音がいいですね。目の前で弾いてくれているような感じがします。そこにピアノが重なると、何処か郷愁のようなものが胸のうちに湧いてきますね。
⑧The Place Where He Inserted the Blade
ここから長尺曲ゾーン。この曲もピアノのメロディが切ないですよね。ギターもサックスもいいです。聴いていると、どうしてか一人空っぽの部屋にいるような心持ちになります。アルバムの中では結構強弱がはっきりとしていて、この曲だとためたものがちゃんと吐き出されているような気がします。要するに、盛り上がりがあるということですね。アルバム内だと一番好きな曲ですね。
⑨Snow Globes
9分もある大曲。冒頭こそは静かですが、そこから様々な楽器が重なっていき、少しずつ盛り上がりを作っていく感じがいいですね。メロディ自体はかなりシンプルだと思います。だけど、今まで地味だったドラムがやりたい放題してる。面白いけど9分は長すぎるなという感じ。
⑩Basketball Shoes
そして、最後は12分の大曲。音数の少ない静かな状態で時間をかけて楽器が増えていく。ここでもサックスがいい感じに楽曲を装飾しています。後半からちょっと曲調が変わって、ギターの存在感が出てくる。そして、出てくる学校のチャイムを思い出すようなメロディにちょっと笑いました。ですが、最後にはアルバムで一番の盛り上がりを見せてアルバムは終わります。
総評
全体的に静かな感じで始まり、段々と高まっていく感じの構成の曲が多いんですが、完全には盛り上がりきらないところがいいですね。爆発しそうでしない、張り詰めた緊張感が楽曲にあるように思います。まあ、それ以前に単純に音が綺麗ですよね。聴いていてうっとりとしてしまいます。特に、ピアノとサックスがいい味を出していると思います。
素晴らしいアルバムだと改めて思いました。
是非、聴いてみてください。