【小説紹介①】限りなく透明に近いブルー/村上龍【ネタバレなし】

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小説
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最初に

 音楽系統のブログを書いているのですが、読書も趣味なので小説の紹介もしていきたいと思います。

 一応、「まだ読んでいない」や「読もうと思っているけど悩んでいる」という人のために、紹介用のネタバレの記事を最初に書いて、その後にネタバレありの感想を書いていきたいと思います。

追記:2023年10月8日に少し加筆修正しました。

 

限りなく透明に近いブルー(ネタバレなし紹介)

あらすじはこんな感じ↓

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく―。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! 〈群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作〉

新装版 限りなく透明に近いブルー 裏表紙

 

「ドラッグ」「セックス」といった言葉が目立ちますが、このあらすじの通りこの小説はR18な描写がふんだんに盛り込まれています。

 元々、純文学には性的な描写が多いイメージがあるのですが、その中でも群を抜いて多いように感じられます。

 この『限りなく透明に近いブルー』という題名だけ見ると、青春ジュブナイル小説として見れそうな素敵な題名なんですけどね笑

 結構、過激な描写があらすじ通り多いので、あまりそういうのが好きではない、耐性がない人にとっては読むのが厳しい作品なのかもしれません。

 ですが、それ以上に私はこの小説の文章は素晴らしいと思いました。

 例えば、この文章、 

 ゴキブリはケチャップがドロリと溜まった皿に頭を突っ込んで背中が油で濡れている。

 ゴキブリを潰すといろいろな色の液が出るが、今のあいつの腹の中は赤いかもしれない。

 昔、絵具のパレットを這っている奴を殺したら鮮やかな紫色の体液が出た。その時パレットには紫という絵具は出していなかったので小さな腹の中で赤と青が混じったのだろうと僕は思った。

新装版 限りなく透明に近いブルー 10P、11P

 ゴキブリという嫌悪感を感じてしまう生き物を殺したとして、その体液の色なんて確認するでしょうか。私だったらさっさとティッシュにでもくるんでゴミ箱に捨てて、辺りを拭いてしまいますけどね。ここまでまじまじと体液なんて観察しないと思います。

 このたった数行の文章で、主人公の変わった部分をさりげなく描写できるのは凄いと思います。

 他にも、

 あたし海に入るわ、この中にいると息が詰まるのよ、手を離してよ、離してよ。

 あっという間にずぶ濡れになったリリーは、ドアを思いきり閉めた。フロントガラスを髪をなびかせたリリーが横切る。ボンネットからピンクの煙が空へ向かい、ヘッドライトを照らす道路から湯気が立ち昇る。リリーはガラスの向こうで歯を剝き出して何か叫ぶ。あそこは本当に海なのかもしれない。リリーは発光する深海魚だ。

新装版 限りなく透明に近いブルー 79P

 登場人物であるリリーが海に入るわと外に出ていくシーンなのですが、その一連の描写を閉める「深海魚」という形容が、外に出るという開放的な行為を閉塞的なものに変えてしまいます。

 (中略)

 ワイパーがガラスを軋ませる音は、人間を挟んで溶かす巨大な貝のことを思い出させる。

 閉じられた金属の部屋、白いシートはその巨大な二枚貝の肉と同じくヌルヌルと柔らかい。

 壁が震え、強い酸液を出し、僕を包んで溶かしてしまう。

 早くいらっしゃいよ、そこにいると溶けちゃうわよ。

 リリーは畑の中に入っていく。鰭のように手を拡げ、からだを濡らす、雨粒は光る鱗だ。

新装版 限りなく透明に近いブルー 80P

 それに続けて描写される貝や鰭といった海に関する怒涛の比喩がさらにそれを助長しているように見えます。

 見方によってはエモい感じなのに、やはり閉塞的なものを感じさせます。

 この退廃的な雰囲気がたまらないんですよね。

 正直、今の時代にこの小説を出すことは無理でしょう(読んでもらえばわかるとは思いますが、結構危うい描写がいっぱい)。

 ただ、この異世界のような世界観が素晴らしいので読んで貰いたいです。

 正直、先ほど色々と文章について語りましたが、私自身もこの小説を深く理解できているわけではありません。

 なにがいいのかを伝えるのも難しい小説ですが、機会があったら読んで欲しいです。

 純文学のなにが面白いんだと思っていた私ですが、この小説を読んで文章を読むことを楽しむのも面白いということを学びました。

 是非、読んでみてください。

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