「アダンの風」-青葉市子のレビュー及び感想
今回聴いていくのは青葉市子さんの『アダンの風』です。
前に書いた『0』の感想記事でも書いたんですが、このアルバムはクラシックギターだけではない作品になっています。「架空の映画のためのサウンドトラック」というコンセプトの元作成された作品なようですが、どんなアルバムになっているんでしょうか。
それでは聴いていきましょう♪
全曲感想
※赤太字は一番好きな曲、赤字は好きな曲です。
①Prologue
海の音が聴こえてくるのと同時に、美しい透き通るようなファルセットも聴こえてきます。中盤から鈴のような音も入り、アンビエント的な楽曲で癒されますね。
②Pilgrimage
民族的な楽器の音も入り、別の世界に迷い込んでしまったような曲です。ストリングスや笛の音も入り、ビートが薄い分浮遊感のあるサウンドに仕上がっています。
③Porcelain
これまた民族音楽的な楽曲。鳴っている音のどれもが何の楽器かわかりません。ファルセット成分多めの響くボーカルが曲にあっています。素晴らしい楽曲です。
④帆衣
二分程度の短い曲。なにを言っているのか聴き取れないほどの、笛のような高いボーカルが印象的。ここまで高いのに綺麗に響いているのが凄いですね。
⑤Easter Lily
これまたアルペジオが美しいスロウテンポな楽曲。美しいコーラスが素晴らしいですね。
⑥Parfum d’étoiles
鳥の声が聴こえてくる曲。ここにきて始めてピアノが聴こえてくるんですが、この音がまた綺麗。自然の中で弾いている姿が想像できます。
⑦霧鳴島
一分程度の短い楽曲ですが、美しいハモリのおかげでさらに短く感じられます。
⑧Sagu Palmʼs Song
アコギ主体の静かな楽曲。途中でかえるの歌が挟まるのが面白いですね。
⑨chinuhaji
心臓の音を加工した音から始まる曲。鈴のような音も素晴らしいですし、シンセ音も綺麗です。雄大な自然の動画のBGMに合いそうな感じ。
⑩血の風
アコギを主体とした穏やかな楽曲。何処か影のある旋律が美しいです。
⑪Hagupit
ストリングスが輝いている楽曲ですね。ボーカルを支えるような感じが素敵。
⑫Dawn in the Adan
アルバムの中だと結構アップテンポな楽曲。早いアコギのアルペジオが耳に残ります。途中でピアノが入ってくるところで歌詞も相まって泣きそうになります。
⑬ohayashi
木琴? 鉄琴? みたいな感じの音がいいですね。徐々にですが、少しずつ盛り上がっていくのがいいですね。
⑭アダンの島の誕生祭
最後が一番長い6分の楽曲ですね。4分辺りで終わったかと思いきや、少しして波の音が聴こえてきます。これがまた癒されますね~。そしてそのまま終わっていくのがなんか切ない。
総評
別の世界に迷い込んだ錯覚に陥る素晴らしいフォークアルバムだと思います。いや、フォークってジャンルでいいのかはわかりませんが。アンビエント的な要素もあり、一つのジャンルにはしぼれないような気がします。
コンセプト通り、映画のサウンドトラックのような曲ばかりで、淡いボーカルが曲によく溶け込んでいます。ただただ美しい音にほれぼれするばかりでした。アコギ自体は前半はあまり聴こえてこないんですけど、後半は結構目立っていてよかったですね。
民族的な楽器を用い、自然の音も溶け込ませることで、この世にない別世界を作り出すことに成功していると思います。もう少し、この世界観に浸っていたいなと思ってしまいした。
クラシックギター主体だった『0』と比較すると、そちらにあった抑揚や自由な感じはあまり感じられないんですが、独自の世界観が素晴らしいこっちのアルバムの方が私としては好きですね。
素晴らしいアルバムでした。
是非、聴いてみてください。