Radiohead-『Hail To The Thief』のレビュー及び感想
『KidA』、『Amnesiac』ときて、次もエレクトロニカなアルバムなのかなと思って聴いてみたら、ギターロックなサウンドに回帰したという感じのアルバムがこの『Hail To The Thief』です。
しかし、バンドサウンドに回帰といっても、『The Bends』の頃かというかと違って、どちらかというと『OK Computer』の頃に近いかなと聴いていて思います。
だけど、『OK Computer』に比べると、『Hail To The Thief』はひねくれていて、攻撃性が増しているように私には感じられます。
一曲目の「2+2=5」と、二曲目の「Sit Down,Stand Up」はどちらも前半にためてためて張り詰めた緊張の糸が、後半に一気に爆発するような感じで、ざらついた音の質感も相まって、非常に攻撃的なサウンドです。
特に、『Sit Down,Stand Up』の後半に入るピコピコなってる電子音なんかを聴くと、『Amnesiac』を通過したロックサウンドって感じます。
題名なんかも当時の大統領を皮肉った言葉をもじってますしね。
しかし、三曲目の「Sail To The Moon」なんかは、
ただただ美しいピアノとギターのロックバラードに仕上がっていて、この辺りは『The Bends』辺りの美メロを鳴らしていたRadioheadを思い出させてくれるような気がします。
アルバムの一曲目から三曲目の流れが好きなのですが、そこからは「面白いことやってるな」と思うことはいっぱいあるんですけど、曲自体はあまり好きじゃないなって印象。
……だったんですが、聴きなおしてみると意外と「あれ、この曲意外と好きだな」となりました。
不思議ですよね、あまり好きじゃなかったんですが。
ですが、
9曲目の『There There』はいつ聴いても素晴らしいと思う曲。
両サイドから聞こえてくるタムのリズムと、ベースのグルーヴ感が気持ちいいです。
あまり聴いたことのない感じの曲で、Radioheadの曲の中でもこの曲に似てるなって感じの曲が見当たらない感じがします。
これまた後半で爆発するような曲で、徹頭徹尾隙がないです。
Radioheadの曲の中でも人気なのが理解できますね。
そして、14曲というRadioheadの中では多めの収録曲を要するアルバムの締めを飾る「A Wolf At the Door」
トムヨークのラップっぽいけだるげな声が印象的。
ギターの、山を描くようなアルペジオも素敵(The Beatlesのあの曲を思い出す感じの)。
まとめ
世間的な評価もRadioheadの中ではさほど高くないし、個人的にもあまり好きなアルバムじゃなかったんですけど、聴きなおしたら意外とよかったなと思いました。
Radioheadの中では収録曲が多めだし、収録時間も長いので、あまり聴き直す人は少なそうですが、試しに聴き直してみるといいかもしれません。
という感じで終わります。
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