『深海』-Mr.Childrenのレビュー及び感想
今回聴いていったのはMr.Childrenの『深海』です。
ミスチルと言えば1990年代にミリオンヒットを連発し、当時の邦楽界の頂点に君臨していたと言っても過言ではないレジェンドバンドだと思います。現在は流石に当時ほどの勢いはないんですが、今でも人気のあるバンドですよね。
かなり長い間活躍しているミスチルですが、彼らの最高傑作はなにかという話になったときによく上がるのがこの『深海』というアルバムのような気がします。
ミスチルはシングル曲は何度も聴いたことがあるのですが、アルバムを通して聴いたことは今までなかったので、今回聴くのがとても楽しみでしたね。
まず、一曲目のDIVEから引き込まれてしまいますよね。
アルバムタイトル通り、深い所にまで沈み込んだような気持ちになります。
そして、驚いたのが二曲目のシーラカンス。
…………!
Pink FloydのWish You Were Hereやんけ!!!!!!!!!!
冒頭の部分が結構雰囲気が似てませんかね? アコギの感じがPink Floydのあの曲ぽいと聴いた瞬間に思いましたね。
これは意図的にやっているんでしょうか。Wish You Were Hereは直訳するとあなたに傍にいて欲しいみたいな意味で、私としては何処にもいかないで的なちょっと悲しげな感じの言葉だと思っています。
で、このアルバムは結構暗めです。ミスチルってシングル曲だけ聴いていると明るいイメージなんですが、このアルバムは歌詞も曲の雰囲気も何処か影を帯びているような気がします。
変わった歌い方が耳に残るSo Let‘s Get Truthはかなり歌詞が痛烈な皮肉めいたものになっていますし、
マシンガンをぶっ放せもかなり快活な感じの曲ですが、やはり歌詞は尖ってます。コン〇ームとか出てきますしね。こうした歌詞が人気のメジャーなロックバンドが入れ込んでくるのは変わっているような気がします。
他にも6曲目のMirrorや、ミリオンヒット曲である13曲目の花も何処か陰鬱としていて、退廃的な感じがします。
どうしてこのアルバムがこういった内容になったのかというと、当時のミスチルのボーカルであった桜井さんがかなり精神的に疲労していたからだという話を聞いたことがありますね。そういった心理状態がアルバムに反映されたと。
二曲目のシーラカンスがWish You Were Hereぽいのもそういった背景があるからなのかなと聴いていて思いました。意図的なものじゃなくて、たまたま似ただけかもしれませんがね。
そして、個人的に一番好きな曲が9分近くある11曲目のゆりかごのある丘からですね。
めちゃくちゃいいポストロックやんけ!
リバーブのかかった透き通るようなギターのアルペジオに、海を泳いでいるような雄大で自由なサックスが物悲しいです。そして、歌詞がこれまたいいんですよね。内容的に戦争に行っている間に好きな人は別の人と結ばれているといった感じ。滅茶苦茶切ないし、退廃的なポストロック的な楽曲にあっています。
フォークやポストロックの要素を感じられる曲のおかげか、さらにアルバムの陰鬱さが増しているような気がしますね。この雰囲気がやはりたまらない。
そして、やはり大名曲な7曲目の名もなき詩。
これもやはりいいですね。ドラムのパターンやベースのフレーズの完成度が高い。歌詞も何処か闇を感じさせながらも、前向きを促すような感じがいいです。ノータ〇ンという歌詞もあるので、やはり尖っている感じが否めませんが。
全体的に結構暗めなんですが、思っていたよりかは暗くなかったかな。ポップで聴きやすい楽曲も収録されているからでしょうか。そこは好き嫌いがわかれるかもしれませんが、私は全然よかったですね。
是非、聴いてみてください。